眼球は左右の眼窩のなかに収められた一対の球状器官です。
眼球の後ろには脂肪組織があって、このために眼球が前から外力を受けても
直接後ろの骨にはぶつかることなくクッションのように保護されています。
眼球の壁は3層の膜からなっています。外側から眼球繊維膜・眼球血管膜・眼球内膜からなりたっています。
眼球繊維膜は強膜と角膜からなっていて、
強膜は眼球の後ろ5/6を包んでいます。角膜は強膜に続いて眼球の前1/6を包んでいます。
角膜は眼球の正面の外層をなす無色透明の膜で少し高く全面に盛り上がっています。
角膜には血管はありませんが神経は通っているため角膜反射や異物が入ると強い痛みを感じます。
角膜は外からの光を通過させて眼球内におくる役目のほかに
眼球の内側で屈折力をもつことからレンズとしての役割をはたします。
角膜炎
角膜は前房というところからでる房水で満たされています。
水分に覆われているので外部からの刺激や病原体の侵入から守られていますが
角膜に傷が付いたりしたときには細菌などの病原体に感染で炎症がおこります。
角膜炎の症状は目がゴロゴロとする違和感、白目の部分が赤くなる、涙が出る、
目が痛む、まぶたが腫れる、角膜が白く混濁がするなどです。
角膜炎の原因としてゴミや砂などの異物が目に入ったり、
コンタクトレンズの装用で角膜にキズがついたりしたときなどに起こります。
コンタクトレンズが原因でおこる角膜炎の原因は不適切な装着によるものです。
一日使い捨てのレンズを再度装用してしまったり、再装用可能なレンズでもこすり洗いやすすぎなどの
決められた取り扱いができていないためレンズに細菌や真菌、微生物(アメーバ)の付着や増殖がおこり、
角膜が感染してしまうからです。
角膜炎の治療は細菌の種類に応じた抗菌点眼薬の点眼と角膜炎の状態によって、抗菌内服薬や点滴薬が使用されます。
治療期間は細菌・真菌・微生物の感染状況によって異なります。
眼科医の指示による点眼回数を守ることが早期の治癒につながります。
角膜潰瘍
角膜炎の病巣が角膜の内部にまで広がって、黒目が白く濁ったり、視力が低下したりすることもあります。
潰瘍が深くなって、角膜に孔が開く角膜穿孔という状態に進行してしまうと失明する場合もあります。
角膜の傷
角膜上皮細胞は時間単位で生まれ変わる新陳代謝が活溌な細胞です。
なので角膜が傷ついても自然に治ることが多いのです。
しかし、頻繁に傷がついたり、傷が修復しないうちに細菌などに感染すると角膜炎などに移行してしまいます。
角膜移植
角膜に白斑・混濁がみられる場合に、瞳孔に相当する部分を切除してドナーから摘出した眼球の透明な角膜を移植します。
角膜移植術には眼球を提供する意思がある人がドナー登録しておき、
ドナーが死亡したあとに眼球を摘出して移植をするシステムが眼球銀行(アイバンク)です。
公益財団法人日本アイバンク協会のホームページ:http://www.j-eyebank.or.jp/trans.htm
角膜の剥離・剥がれる
角膜上皮が剥がれた状態を”角膜びらん”といいます。
角膜びらんの代表的な症状は目の痛みやゴロゴロとした異物感、充血、視界のぼやけなどです。
原因は目にゴミなどの異物が入ったり、目を強くこすったり、コンタクトレンズのあやまった使用やドライアイなどで起こります。
角膜ヘルペス
単純ヘルペスウイルスと呼ばれるウイルスが原因で起こる角膜感染症です。
単純ヘルペスウイルスは一般的に乳幼児の頃に初感染を起こし、
症状があまり出ないうちに身体の中の神経節にひそむようになります。
神経節にひそんでいたウイルスは風邪などの熱性疾患や生理的変動(ストレス・過労・月経など)をきっかけにして再び活動を開始し、角膜へ移動して角膜炎を起こします。
角膜ヘルペスの場合は、抗ウイルス眼軟膏の使用で1~2週間で治りますが、その後も再発を繰り返す例が少なからずあります。