矜持とは

矜持 特集

近頃はあまり使われなくなってきましたが、矜持という素晴らしい言葉が日本にはあります。

聞き覚えがまるでない、と感じる人々もおそらく多いはずです。いわゆる一般的なマスメディアではほとんど使われておらず、またリアルでは年配の方々や一部の専門家が限定的に口にする程度です。

言葉の意味合いですが、英語でいうところのプライドであり、自分が持つべき良い意味での自尊心を指します。

プライドと言えば、どこか高飛車で自己中心的な人々だけが持つもの、という印象が日本国内にはありますが、実際はむしろ正反対です。

むしろ謙虚で真面目な方々こそ、矜持を自然と胸に抱いて暮らしています。

あまりリアルでは耳にしない言葉だけに誤解されやすい概念ですが、人が人らしく生きる上で拠り所にする指針のようなものです。言い換えれば、自分が自分に課せた誓約のようなものです。実際の社会のルールとは違う部分で、自分が自分自身と契約を結び、これをしなければ自分ではない、あるいはこれをしてしまったら自分ではなくなる、という気持ちを高めます。

最近では「自分ルール」といった風にカジュアルな言い方で表現されていますが、これもまたある種の矜持です。自分が自分らしく生きる上で、このやり方を選ぶ、自分らしく在るためにこれだけはしてはいけない物事を決める、といった具合であり、誓約を課すことでは人は精神的に強くなれます。

また矜持は職業倫理の別名である、とも考えられています。

職業倫理とはその職業に就いたものであれば、明文化されたルールがなくても、自然とこれをすべき、反対に職業としてこの行為だけは犯してはいけない、という暗黙のルールです。現実問題として日本の法律には、どこかしらに必ず穴があります。悪知恵がある政治家や医師や弁護士は、巧みに法律の穴を付き、いわばグレーゾーンの範囲で合法的に私腹を肥やす事が珍しくありません。

グレーゾーンな状態で賄賂を受け取ったり、ライバルを蹴落とすために無言の圧力をかける等、こういった法律に抵触するわけではないものの、良くない事によって利益を得る政治家や専門家が世の中にはいます。悪知恵を使って利益を誘導したり、ライバルを蹴落とすために政治力を駆使した方が自分の利益は最大化出来ます。

しかし、普通の人々は矜持を自然と抱いているため、道を踏み外すことはありません。

良い意味でのプライドが誘惑を自制します。ここで賄賂を受け取ったらきっと選挙活動は楽になるだろうな、という甘い悪魔のささやきに襲われた時も、大勢の政治家や医師は自分の心の奥底に自然と芽生えた自制心によって、悪事に手を染めません。

医師として賄賂を受け取ってしまったら自分は自分ではなくなる、政治家として悪事に手を染めたら自分を誠実に応援してくれた国民に顔向けする事が出来ない、世間的にはまるで悪人ばかりに報じられる政治家や専門家ですが、現実はむしろ矜持を強く胸に抱き、誠実過ぎる自制心を持って仕事に向き合っている人々が大半です。

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