5年ほど前、近くのキャンプ場で起こったことをご紹介します。
そこは関西ではわりと多くの人が訪れているキャンプ場でした。
キャンプ用の道具などは現地で貸し出してくれるし、食料も調達して行ったので、何も問題はないだろうと気軽に考えて友人達数人と出かけて行きました。
友達の中で、普通に食事をバーベキューとかカレーとかにするのはつまらない、夏だから流しそうめんをしよう!ということになりました。
そこで私たちは、晩御飯をカレーにし、お昼を流しそうめんにするということに決め、買い出しをしてキャンプ場に到着しました。
予定通り、テントや、その他、必要なものはキャンプ場の事務所のようなところで貸し出してくれました。
テントも無事にはり、私たちはとても楽しみにしていた流しそうめんの準備をはじめました。
特にキャンプに慣れている人もおらず、普通に火をおこせば作れるだろう、ぐらいに思っていました。
ちゃんと火も起こせて、食事の準備は順調にすすんでいました。
鍋に水を入れ、火の上にかけていざ、そうめんをゆがこうとしました。
しかしいくらがんばってみても、コンロのように火力が上がりません。
そうめんはお湯が完全に沸騰した状態で、さっとゆがくものですが、ふだんは家でかんたんにできるこのことが、キャンプ場の自分たちでおこした火ではうまくいきません。
まだまだお湯の温度が低いような気がしましたが、とりあえず、そうめんを入れたらなんとかなるだろう、とたかをくくっていました。
しかしなんだか普通のさらさらとしたそうめんの状態にはなかなか仕上がりません。
もう少し茹でてみよう、と普通では考えられないほどの長い時間、そうめんをゆでてしまいました。
それでもまだ、麺は固いままでした。
私は内心、失敗したなと思っていました。これでは流しそうめんどころか、普通のそうめんですら、味わうことはできないだろうと絶望的な気持ちになりました。
何しろ、お昼ごはんはその日、そうめんしか用意していないのです。
晩御飯用のカレーはありますが、夜の分しか用意していません。
キャンプ場はかなり山奥の方にあり、ここにたどり着くまでにかなり時間もかかっているので、今さら、食料を調達しにいくわけにもいきません。
私たちのお昼ご飯は、このそうめんと火加減にかかっていました。
皆、必死で火力を強めようと努力しました。
しかしやはりどんなにがんばってもお湯の温度は上がりません。
そうなると、そうめんはどういうことになるか。
私たちはそこでとてもそうめんとは思えない、みたこともないものを見ることになりました。
中途半端な火力で長い時間、茹でられたそうめんは、もはや細い麺ではなく、一つのおおきな白いかたまりになったのです。
一見、チーズのようにも見えました。
でももう昼食はそれを食べるしかありません。
あきらめて、そうめんについていた、そうめんつゆをつけて、無理やりその白いかたまりを食べることにしました。
それはとても食べられないほど、まずいものになっていました。
そうめんつゆでなんとかごまかして食べようとしても、とても食べられないほどのまずさです。
お腹が空ききっているのにどうしても全部は食べられませんでした。
家ではあんなにかんたんに作っておいしく食べられるものが、キャンプ場ではこんなにも苦労してもうまくいかないものなのだと思いました。
そして、やはりキャンプではバーベキューやカレーがいちばんだということがわかりました。
仰っているように、普段の便利な生活では全く気づかない、その有り難さをキャンプへ行って体験することって多いですよね^^